はじめに|SaaS営業は「誰に売るか」で変わる
SaaS営業で新規開拓を進めたい。でも、どんな企業を狙えばいいのか、営業先をどこから探せばいいのかわからない。
そんな悩みはありませんか?
SaaS営業では、商品の機能を説明する前に「そのサービスを必要とする企業はどこか」を見極めることが重要です。
今回は、ターゲット設定から営業リスト作成、アプローチ、KPI管理まで、SaaS営業の進め方を実践的に解説します。

第1章:SaaS営業の特徴|売って終わりではない営業
SaaSとは、インターネット経由でソフトウェアを利用するサービスのこと。月額・年額などの継続課金モデルが多く、営業にも独特の考え方があります。
一般的な売り切り型の商品と違い、SaaSでは契約後もサービスを使い続けてもらうことが重要です。そのため、目先の受注だけを追いかけていては、なかなか安定した売上につながりません。
新規受注と継続利用をセットで考える
SaaS営業では、主に次の流れを意識します。
- ターゲット企業を見つける
- 初回接点をつくり、商談につなげる
- 業務課題を確認し、導入を提案する
- 導入後の活用と継続利用につなげる
- 必要に応じて追加契約や利用拡大を提案する
たとえば勤怠管理SaaSなら、契約を取るだけでなく、現場の従業員が無理なく使えるかどうかも重要です。
「便利な機能がたくさんあります!」と説明して契約しても、誰も使わなければ継続は難しくなります。
SaaS営業では、導入後の成果まで見据えた提案が求められるのです。
第2章:ターゲット企業の決め方|業種より業務課題を考える
新規開拓で最初に決めたいのは、どの企業に自社SaaSを提案するかです。
ここでは、理想的な顧客像を表す「ICP(Ideal Customer Profile)」という考え方が役立ちます。
難しく考える必要はありません。
自社サービスが役立ちやすい企業の共通点を整理することから始めましょう。

3つの条件でターゲットを絞る
1.業種・事業内容
自社SaaSが解決できる課題を持ちやすい業界を考えます。
たとえば、予約管理SaaSなら美容サロンやスクール、在庫管理SaaSなら小売業や卸売業などが候補になります。
2.企業規模・拠点数
従業員数や店舗数によって、必要な機能や導入の意思決定が変わります。
複数店舗のシフト管理を支援するSaaSなら、多拠点企業は有力な候補です。
3.業務の状況
特定の業務をExcelで管理している、事業を拡大している、人員を増やしているなど、導入のきっかけになりそうな条件を考えます。
ただし、求人や拠点拡大の情報があるからといって、必ずSaaS導入のニーズがあるとは限りません。あくまで営業仮説として活用します。
💡実践ポイント: 「どんな業種の、どんな規模の、どの業務課題を持つ企業か」を一文で説明できるようにしましょう。
第3章:営業先の探し方|SaaSの導入候補を見つける

ターゲットが決まったら、条件に合う企業を探します。
SaaS営業で活用しやすい情報源には、次のようなものがあります。
企業検索サイト・業界団体の名簿
業種や地域を指定して企業を探す基本的な方法です。
業界特化型SaaSなら、業界団体の会員名簿や専門ポータルサイトが役立ちます。
求人サイト
採用活動を行っている企業から、業務拡大や組織変更の可能性を探れます。
たとえば経理担当者を増員している企業なら、経理業務の効率化が提案テーマになるかもしれません。
企業ニュース・プレスリリース
新規出店、新事業、拠点拡大などの発表は、企業の変化を知る手がかりです。ただし、発表内容と自社SaaSの関係を考えずに営業しても、反応は期待しにくいでしょう。
営業リスト収集ツール
多くの企業を継続して探すなら、収集ツールの活用も選択肢です。
たとえばListoru(リストル)では、法人検索サイト、求人サイト、業界団体などの公開情報から企業候補を収集し、CSV形式で出力できます。
収集した情報をもとに、営業担当者が自社の条件で絞り込めます。
SaaS会社向けの具体的な情報収集方法は、こちらで紹介しています👇
SaaS会社向けの営業リスト活用方法
第4章:営業リスト作成|アプローチできる状態に整理する

企業情報を集めたら、営業担当者が使えるリストに整理します。
SaaS営業では、企業名と電話番号だけでは少し物足りません。
営業リストに入れたい項目
- 企業名、所在地、Webサイト
- 業種、企業規模、拠点数などの基本情報
- 電話番号、確認できた連絡先
- ターゲット条件との一致度
- 提案のきっかけになりそうな公開情報
- 営業担当者、対応状況、次回アプローチ日
- 情報の取得元と確認日
ここでおすすめなのが、営業先の優先順位をA・B・Cに分ける方法です。
A:ターゲット条件に強く一致する企業
B:おおむね一致するが、追加確認が必要な企業
C:条件との一致度が低い、または情報が不足している企業
最初から完璧な評価基準をつくる必要はありません。
まずはAランクの企業からアプローチし、反応を見ながら条件を調整します。
なお、企業の実際の業務課題や導入意向は、公開情報だけでは確定できません。商談やヒアリングで確認することが重要です。
第5章:アプローチ|機能紹介より業務改善を伝える

SaaS営業では、インサイドセールスとフィールドセールスを分担する企業もあります。
インサイドセールスは電話やメールなどで見込み客との接点をつくり、フィールドセールスは商談や提案を担当する形です。ただし、小規模な会社なら、一人の営業担当者が両方を担っても問題ありません。大切なのは役割分担そのものではなく、営業先探しから商談までを途切れさせないことです。
最初の接点では課題を確認する
たとえば、顧客管理SaaSを販売する場合。
「弊社の製品には便利なダッシュボード機能があります」
と伝えるよりも、
「顧客情報の共有や案件の進捗管理で、手間がかかっている業務はありませんか?」
と聞く方が、相手の状況を把握できます。
もちろん、最初から課題があると決めつけないことも大切です。
デモでは機能を全部見せない
SaaSの商談でありがちなのが、機能を最初から最後まで説明してしまうこと。でも、相手が知りたいのは機能一覧ではありません。「導入すると、自分たちの仕事がどう変わるのか」です。現状の業務、困っていること、導入後の変化を順番に伝えましょう。
また、社内稟議が必要な企業には、費用、導入手順、期待できる効果、運用負担を整理した資料も役立ちます。営業メールや問い合わせフォームを利用する際は、関連法令や送信先の利用条件を確認してください。
第6章:KPI管理|新規開拓から継続利用まで見る

KPIとは、目標の達成状況を確認するための指標です。
SaaS営業では、受注件数だけでなく、そこに至る過程と契約後の継続状況も確認します。
新規開拓で確認したいKPI
- アプローチ件数
- 担当者との接点獲得率
- 商談化率
- 商談からの受注率
まずはこの4つを追うだけでも、改善点が見えやすくなります。
たとえば、アプローチ件数は多いのに商談が少ないなら、ターゲット条件や最初の伝え方を見直します。商談数は多いのに受注につながらないなら、ヒアリングや提案内容、価格との適合性を確認します。
SaaS特有の指標も押さえておく
さらに、SaaSでは次の数字も重要です。
- MRR(月次経常収益):継続課金によって毎月得られる経常的な収益。
- ARR(年間経常収益):継続課金による年間の経常的な収益。一般的にはMRRの12倍を基準にします。
- 解約率(チャーンレート):一定期間内に顧客や契約収益がどれだけ失われたかを示す指標。顧客数ベースと収益ベースでは計算方法が異なります。
- アップセル :既存顧客に上位プランなどを提案し、契約単価の増加を目指す取り組み。
受注してもすぐ解約されてしまえば、継続的な成長は難しくなります。
営業部門とカスタマーサクセス部門が連携し、「どんな企業が導入後も活用しているか」を新規開拓に反映することが大切です。
成功パターンをチームで共有する
最後に、大切なポイントをひとつ💡
営業成果を個人の経験だけに頼らないことです。
反応の良かった業種、よく聞かれる質問、商談で評価された説明などを記録し、チームで共有しましょう。新規開拓の成果を次の営業リスト作成に活かせば、改善を続けやすくなります。
まとめ|SaaS営業はターゲット設計から始めよう

SaaS営業で重要なのは、営業先を大量に集めることではありません。
自社サービスが役立つ企業を選び、その企業に合った方法でアプローチし、導入後の成果まで考えることです。
まずはターゲット条件を整理し、優先度の高い企業から営業を始めましょう。
SaaS営業も、気合より設計。 売れる仕組みは「誰に営業するか」から始まります。
SaaS営業での具体的なリスト活用方法を見る
SaaS会社向けの営業先探しでは、業界団体・求人サイト・企業検索サイトなどを組み合わせる方法があります。
Listoruでは、ターゲット業界の選び方から企業リストの収集・CSV出力まで、SaaS会社向けの活用方法を紹介しています。
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