「SaaSでARR1億円って、本当に実現できるの?」
「そこに到達するには、どんな営業が必要なんだろう?」
そう感じたあなたの直感は鋭いです。
ARR1億円という数字は、単なる売上目標ではなく、顧客からの信頼を積み重ねた“結果”であり、再現性のある営業の仕組みを築いた“証”でもあります。
この記事では、私が0からチームを作り、商談を重ね、泥臭く試行錯誤しながら、ARR1億円を達成したプロセスをすべてお話しします。
- 「型」を作るまでの苦労
- 失敗から学んだこと
- 成功が継続する“理由のある戦術”
机上の空論はありません。
SaaSの現場で「本当に使える営業ノウハウ」を、あなたの武器にしてください。
第1章|ARR1億円達成のマインドセット
売上1億円。響きは大きいですが、特別なスキルが必要なわけではありません。
むしろ重要なのは、どんな“マインド”で営業をやってきたか。ここが結果を大きく分けます。
「売る」よりも「残る」を意識する
SaaSはサブスクリプション。
売って終わりではなく、「使い続けてもらえるか」が最重要です。
私は常にこう自問してきました:
「この提案は、本当に顧客の成果につながるか?」
「解約したくなくなるほど、価値を届けられているか?」
初回受注だけに目を奪われると、ARRは積み上がりません。
解約を防ぐ=“売った瞬間からが本番”という意識が欠かせません。
小さく売って、大きく育てる
最初からフルパッケージを売るのではなく、顧客の現実にフィットした最小構成で提案する。
そして、使ってもらい、成果を出してもらい、そこからアップセルへつなげていく。
SaaSセールスの鉄則は「信頼と成果が、次の商談を連れてくる」。

「相手のKPI」を知ることがすべての起点
商談では、相手の部署・役職・責任範囲を深く理解し、
「その人のKPI達成にどう貢献できるか?」という視点を持つようにしてきました。
- 現場責任者なら「業務改善/ミス削減」
- マネージャーなら「部下の管理効率/パフォーマンス見える化」
- 経営層なら「投資対効果/意思決定スピード」
このKPI起点の提案が、信頼される営業への第一歩になります。
ARR1億を目指す営業に必要なのは、「顧客の成長に並走する覚悟」
案件獲得、導入、定着、効果検証──
このすべてに寄り添う営業が、ARRを積み上げる唯一の近道です。
あなたが目指すのは、「営業成績の達成」ではなく、
「顧客から“またお願いしたい”と言われる営業」です。
第2章|SaaSならではのKPI設計とモニタリング
SaaSビジネスにおいて、数字を“見ているだけ”では足りません。
どの数字を、どのタイミングで、どのように動かすか──
これを戦略的に組み立てられる営業が、ARRを伸ばし続けます。
KPIは「点」ではなく「線」で捉える
営業のKPIというと、「商談数」「受注数」など“点”の数字に目が行きがちですが、
SaaSでは「見込み→受注→利用→継続」までの流れ=“線”のKPI設計がカギです。
私が実際に追っていたのは、この流れ:
- MQL(Marketing Qualified Lead)数
- SQL(Sales Qualified Lead)転換率
- 商談から受注までのリードタイム
- 初回契約額と月次単価(MRR)
- 解約率(Churn Rate)とアップセル率
これらをダッシュボードで可視化し、どの部分の数字が詰まっているか、常にチェックしていました。
解約率=営業の“質”を映す鏡
「受注すれば勝ち」ではないのがSaaS営業の難しさ。
実は一番見られているのが、“導入後にどれだけ残っているか”という数字です。
1年後に7割が辞めているようでは、ARRは絶対に伸びません。
だから私は、提案時から「継続しやすさ」を意識していました。
- 最初の導入フローが複雑すぎないか?
- ユーザー教育の設計がされているか?
- 社内展開しやすいよう、成果を数値化できるか?
この“先を見据えた営業”が、結果的に解約率を下げ、ARRを積み上げてくれます。
施策の成果は「数値で語れる形」に
営業として信頼を勝ち取るには、成果を“肌感覚”ではなく“数値”で示す力が必要です。
- 「導入後、平均対応時間が32%短縮されました」
- 「1ユーザーあたりの月次売上が1.3倍に伸びました」
こうした成果が出ると、次の商談・紹介・アップセルが生まれます。
KPI設計は営業活動の“地図”であり、成果の“証拠”でもあるのです。

第3章|成功する商談設計のポイント
SaaSセールスにおいて、商談は“説得の場”ではなく“納得の場”。
顧客が「これならうまくいく」と腹落ちできる構成こそ、成約率を飛躍的に高めるカギです。
① 提案は「仮説」から入るのが基本
「ヒアリングからスタート」は王道ですが、それだけでは時間がかかります。
だから私は必ず、最初に“仮説”をぶつけるところから始めていました。
「御社のこの業務プロセス、属人化していませんか?」
「似た業界ではこういう課題が頻出しています」
この仮説が刺されば、商談は一気に深くなります。
“対話”ではなく“共創”が始まる瞬間です。
②「機能紹介」ではなく「業務改善ストーリー」
SaaS商談でついやりがちなのが、「機能がたくさんありますよ」プレゼン。
でも、本当に響くのは、“どう業務が変わるか”を描くことです。
- 現在の業務フロー
- そこにどんな課題があるか
- どうSaaSで変わるか
- どんな定量成果が期待できるか
ここを資料やホワイトボードでストーリーにして語れる営業が、信頼を勝ち取ります。
③ デモは「シンプルに」「成果をイメージさせる」
デモのコツは、“全部見せようとしない”ことです。
ユーザーの職種・業務に合わせて、“一番イメージが湧きそうなシーン”だけを切り出して見せる。
- 「ここで自動入力されるから、月10時間浮くんです」
- 「このレポートが、営業会議で即使えるんです」
ポイントは、“未来の自分たちの姿が見える”ようにすること。
それが「これ、欲しいかも」のスイッチになります。
④ 社内稟議を通しやすくする仕掛け
商談の中で、「この説明なら上司に通しやすい」と思ってもらえるよう、
“稟議サポート資料”をセットで用意していました。
- 投資対効果(ROI)シミュレーション
- FAQや導入イメージの簡易資料
- 成功事例の一枚スライド
営業がやるべきは、顧客の社内営業を“助ける”ことでもあるのです。
商談とは、“買ってもらう”時間ではなく、“一緒に成功をイメージする”時間。
その視点に立てば、あなたの提案は「検討」ではなく「共感」されるようになります。
第4章|チームで1億をつくる“仕組み”
ARR1億円を一人で背負うのは現実的ではありません。
本当に強い営業組織とは、個人ではなく“チーム”で数字を作る仕組みがあること。

ここでは、私が実践してきた「仕組みで売れる営業組織のつくり方」を紹介します。
① 勝ちパターンを言語化する
優秀な営業ほど「感覚」で動きますが、それでは再現性がありません。
だから私は、成功商談のパターンを全てドキュメント化・テンプレート化していました。
- ヒアリング質問集
- 仮説トークスクリプト
- 商談シナリオと提案ストーリー
- 業種別FAQ/反論処理マニュアル
これがあれば、新人でも一定レベルの商談が再現可能になります。
② ナレッジ共有を「業務」に組み込む
“営業は孤独な職業”ではもはや古い。
Slack・Notion・ミーティングを活用して、ナレッジ共有を“仕組み化”しました。
- 毎週1件、成功・失敗事例を投稿(必須)
- 商談録画を共有してコメントし合う文化
- MRRの増減要因を定期的に全体レビュー
「自分の数字だけ追えばいい」では、ARRは積み上がりません。
全員で勝ち筋を探し、育てていく文化がチームを強くします。
③ KPIを「行動単位」でブレイクダウン
数字だけ追っても、日々の営業行動に落ちません。
私たちはKPIを“行動単位”に細分化し、週次でモニタリングしました。
- 架電数・商談化率・初回提案提出率
- 提案からのリードタイム
- 失注理由の傾向と改善アクション
これにより、「今週、何をすべきか」が明確に見えるようになります。
④ 「小さな成功」をみんなで喜ぶ文化
最後に意外と重要なのが、“心理的安全性”と“承認の文化”。
- 初受注したメンバーをみんなで拍手
- 小さな改善提案をピックアップして表彰
- お客様の一言をチームで共有して感謝
これが、「売れる仕組みを一緒に育てる」チームをつくります。
営業の本質は、個人技ではなく「仕組み × 習慣 × 文化」なのです。
第5章|組織規模×成長フェーズ別の戦略
SaaSビジネスは、“会社の成長フェーズ”によって最適な営業戦略が大きく変わります。
創業期・拡大期・成熟期──どの段階にあるかを見極め、その時期に合った営業アプローチを取ることが、ARR1億円への近道です。
創業期(ARR0~数千万円):売るより“確かめる”
このフェーズでは、まずはプロダクトマーケットフィット(PMF)を見極めるのが最優先。
営業の役割は「売る」ではなく、「仮説を検証し、学び、改善にフィードバックする」こと。
- 最初の10社は“教科書にない商談”の連続
- 拒否された理由が宝の山
- 顧客インタビューを企画提案と一体化する
スピードよりも深い洞察が、次のフェーズへのジャンプ台になります。
拡大期(ARR数千万円~1億円):型化とチーム力が鍵
このフェーズは、再現性のある営業活動を“量産”するための整備期間。
勝ちパターンのテンプレ化、CRMの徹底、インサイド/フィールドの役割分担など、営業のインフラを整えることが成果を分けます。
- KPI設計と運用の仕組みづくり
- 営業資料の標準化と改善ループ
- SDR(商談開拓)とAE(提案・クロージング)の連携強化
「チームで売る営業体制」が構築されれば、ARR1億は手が届く現実になります。
成熟期(ARR1億円以上):アップセルとCSが主役
ARR1億円を超えると、“新規営業”以上に、“既存顧客の拡張”が成長を左右します。
この段階では、カスタマーサクセス(CS)との連携が営業成績を左右する最大要因になります。
- 導入後の活用状況を営業もチェック
- 成果が出た瞬間を逃さず、アップセル提案
- NPS(顧客ロイヤルティ)向上を目標化
SaaSセールスの本質は、「売って終わり」ではなく、「売った後に成果を出す設計ができるかどうか」なのです。
事業のフェーズが違えば、正解も変わる。
自分たちが“今どこにいるか”を見誤らなければ、SaaS営業は必ず伸びていきます。

まとめ|ARR1億は通過点。“再現性”こそ最強の武器
ARR1億円は、たしかに大きな節目です。
でも、それはゴールではなく、“仕組みで売れる組織”を確立したことの証であり、ここからが本当のスタートだと私は感じています。
- 仮説で提案する力
- 継続利用を意識した設計力
- 数字を可視化し、改善し続ける文化
- チームで勝ち続ける仕組みと習慣
これらはすべて、「再現性」を高めるために必要な要素です。
SaaS営業は、毎日が挑戦の連続。
うまくいかない日も、迷う時もあるでしょう。でも、一つひとつの商談、一人ひとりの顧客との関係が、確実に未来をつくっています。
自分を信じて、仲間と支え合いながら、粘り強く続けてください。
きっとあなたも、ARR1億のその先へ進めるはずです。
💬 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
あなたの挑戦を、心から応援しています!
巻末付録|用語解説

本文中に出てきたビジネス用語を、分かりやすく解説します
- ARR(年間経常収益)
1年間に安定して得られる契約収益の合計。SaaSの成長度を測る重要な指標。 - SaaS(サース)
インターネット経由で利用できるクラウド型ソフトウェアサービスのこと。 - KPI(重要業績評価指標)
目標達成の進み具合を測る中間指標。営業やマーケティングでよく使われます。 - MQL / SQL
MQLは「マーケティング部門が見込みありと判断した顧客」、
SQLは「営業が商談可能と判断した顧客」のことです。 - MRR(月次経常収益)
毎月安定的に発生する契約収益。ARRの1/12に相当します。 - アップセル / チャーン
アップセルは既存顧客に上位プランなどを提案して収益を伸ばす営業手法。
チャーン(Churn Rate)は契約が解除されてしまう割合です。 - PMF(プロダクトマーケットフィット)
「市場ニーズに対して、自社サービスがマッチしている状態」のこと。
SaaS初期における重要な到達点です。

あなたの営業活動を応援します!
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