はじめに
営業職――それは、ときに孤独で、ときに熱い。そして、やっぱり楽しい仕事です。私は40代、SES業界に身を置いてもう20年以上。山あり谷ありの営業人生の中で、痛感したのが「三方良し」の大切さでした。
「三方良し」とは、もともと近江商人の理念で「売り手良し・買い手良し・世間良し」という考え方ですが、これをSESに当てはめると「営業・顧客・エンジニア全員が幸せになる」状態です。
営業だけが数字を上げても、エンジニアが疲弊して辞めてしまっては意味がない。顧客が満足しても、エンジニアが不満なら継続は難しい。逆に、三者が満足していれば、現場は安定し、信頼は深まり、次の商談もスムーズに進む――これこそが、SES営業における“最強の武器”なのです。
この記事では、私が現場で得た数々の「ヒヤッとした失敗談」や「ちょっとウケた成功体験」を交えながら、「三方良し」の営業術を具体的に解説していきます。堅苦しさは抜きにして、あなたの営業活動にすぐ活かせるよう、分かりやすく・面白く・でもちょっと真面目に語っていきます。
ではさっそく、第一章へ参りましょう。
第1章:まずはここから!三方良しの基本と営業の“軸”を作る
SES営業において、一番大切なものって何だと思いますか?
契約? 数字? もちろん大事。でも、私が長年の現場で痛感したのは――
「みんなが気持ちよく仕事できること」こそが、何よりの成功だということ。
営業時代のある夜、担当エンジニアから電話がかかってきました。
「営業さん、もう限界です…誰にも分かってもらえないんです」
正直、胸がギュッと締めつけられました。
それまでは、契約が取れればOKだと思っていた私。でもこの一件で、考えが180度変わったんです。
営業は“つなぎ役”なんかじゃない。関わるすべての人を幸せにする“橋渡し役”なんだと。
◆「三方良し」ってなに?
もともとは近江商人の考え方で、「売り手良し・買い手良し・世間良し」。
これをSESで言うと、こうなります:
- 売り手良し:自社(営業)も利益を出す
- 買い手良し:顧客も成果を感じる
- 世間良し:エンジニアも満足して働ける
この“3つの良し”が揃ってこそ、案件は長続きし、信頼も深まり、次のチャンスにつながるんです。

◆まず整えるべきは「営業の軸」
三方良しを実現するために、私がいつも大事にしている3つの“営業軸”があります:
- まず“人”を大事にする
- スキルや単価も大事。でもその前に、「どんな人か」をちゃんと見る。
- 情報はなるべくオープンに
- エンジニアにも、顧客にも、なるべく裏のない説明を心がける。
- 短期より“長期”を選ぶ
- 目の前の数字に惑わされず、5年後も関係が続く営業を目指す。
この章のまとめ:
「営業は誰よりも、相手の“立場”に寄り添える人であれ」
次章では、まず“エンジニア”にどう向き合えば、信頼を得られるのか?
私の失敗談も交えながら、リアルな営業術をお届けします!
第2章:エンジニアから愛される営業術 ~“ただの営業”で終わらないために~
「この人、ただ案件決めたいだけでしょ?」
エンジニアにそう思われてしまったら、営業としてはアウトです。
SES営業にとってエンジニアは“商品”ではなく、“仲間”です。だからこそ、信頼関係がすべての起点になるんです。
◆「技術がわからなくても、わかろうとする姿勢」がカギ
私がまだ業界に入ったばかりのころ、JavaとJavaScriptの違いすら分かっていませんでした(恥ずかしい話ですが…)。でも、だからこそ、エンジニアに“聞く姿勢”を大事にしました。
「その技術、どんなところが難しいの?」
「その開発現場ってどんな雰囲気なの?」
こういう問いかけだけで、エンジニアの表情がガラッと変わるんです。
「この営業さん、ちゃんと理解しようとしてくれてる」って。
◆報酬と単価の“見える化”は、信頼への第一歩
エンジニアとのお金の話って、敬遠されがちですが、最も信頼を得やすいチャンスでもあります。
- 案件単価はいくらか
- 自社のマージンはどれくらいか
- その内訳はどうなっているか
私の場合、ざっくりでもオープンにすることで、「あ、この人は変なことしないな」と思ってもらえるようになりました。
ある時、「他社ではそんな説明してくれなかったです」と言われて、ちょっと誇らしくなったのを覚えています。
◆“現場放置”は絶対NG。定期フォローで「見守り力」を伝える
配属が決まったあとも、営業の仕事は終わりじゃありません。
- 月1のランチミーティング
- Slackで週1の軽いやり取り
- 現場での「ちょっとした愚痴」の拾い上げ
こうした“ゆるい接点”の継続が、いざというときの信頼につながります。
実際に、あるエンジニアが「営業さんにだけは話せる」と、キャリアの悩みを打ち明けてくれました。それがきっかけで新たな配属先を提案できたこともあります。

◆営業が“味方”だと感じてもらえる関係へ
エンジニアが「この人、ウチの営業」ではなく、「この人、自分のパートナー」と思ってくれたら、それはもう大成功。
ちょっと大げさですが、私が目指しているのは、“現場の外にいるもう一人のチームメンバー”です。
この章のまとめ:
「営業は、エンジニアの一番のファンであれ」
次は「顧客」――つまり、発注者側とどう向き合うかを掘り下げていきます。
エンジニアと顧客、どっちの顔色を見ればいいか分からない…なんて時こそ、ぜひ読んでください。
第3章:顧客から信頼される営業術 ~“売り込み”じゃなく“頼られる存在”へ~
SES営業でありがちな間違い、それは「案件をねじ込もう」としてしまうこと。
でも本当に大切なのは、“売り込み”ではなく“伴走”です。顧客のニーズに寄り添い、期待以上の価値を提供すること――それが、信頼される営業の条件です。
◆「話す力」より「聞く力」がモノを言う
若い頃の私は、とにかく自分の話ばかりしていました。「ウチのエンジニアは優秀です!」「すぐ動けます!」って。
でも、ある顧客にこう言われたんです。
「あなたは“聞き役”になった方が、きっといい営業になりますよ」
ガツンときましたね…。それ以来、私は“質問する営業”に変わりました。
- 「どんな課題をお持ちですか?」
- 「今の現場で一番困っていることは?」
- 「理想のエンジニア像って、どんな人ですか?」
こうした質問を繰り返すことで、顧客が“心を開いて”くれるようになったんです。
◆“スキルだけ”じゃない提案力が信頼を生む
顧客が本当に求めているのは、「スキル表」じゃなく「価値ある解決策」です。
たとえば、
- ちょっと経験不足でも、チームとの相性が抜群な人材
- 目立たないけど、トラブル対応が神レベルのエンジニア
こうした“スキル表に載らない強み”を伝えることが、提案の質を変えます。
実際、私が「この人はコミュ力で場を和ませます」と紹介したエンジニアが、プロジェクトの“潤滑油”として超高評価を受けたこともあります。
◆問題が起きた時こそ、信頼を勝ち取るチャンス
もちろん、トラブルは起きます。納期がずれたり、エンジニアが体調を崩したり…。
そんな時こそ、“正面から向き合う姿勢”が大切です。
- すぐに状況報告
- 代替案の提示
- 顧客とエンジニアの間に入って調整
「逃げない営業だ」と思ってもらえたら、逆に評価が上がることもあるんです。

ある時、ピンチに直面した現場で、「他社の営業は電話もよこさなかったのに、あなたは夜10時でも来てくれた」と言われ、顧客との関係が一気に強まりました。
この章のまとめ:
「顧客に“この人なら任せられる”と思ってもらえたら、営業の8割は成功している」
次章では、「自社とのWinも忘れない」――営業としての“本音と建前”をどう両立するかに迫ります。
第4章:自社にも利益をもたらす営業術 ~三方良しの“最後の1ピース”はここ~
三方良し――エンジニア良し、顧客良し、そしてもう一つ忘れちゃいけないのが、「自社良し」です。
SES営業として成果を出すには、会社に利益をもたらす視点を持つことも必要不可欠。これを忘れると、いくら“いい人”でも評価されにくくなります。
◆“エンジニア第一”と“利益”は矛盾しない
よくある誤解が、「エンジニアに良くすると、利益が減る」というもの。
でも実際はその逆。エンジニアが安心して働ける環境を作ることで、定着率が上がり、継続案件が増え、結果として利益が安定するんです。
私は、「単価が下がっても、この人なら回る」という信頼を何度も得てきました。だからこそ、“継続=信頼”で自社に貢献できるんです。
◆“利益設計”を意識した提案のしかた
営業として数字も出したい。そこで私が意識しているのは、“価値と単価を連動させる”という発想です。
- 技術力だけでなく「現場安定性」や「教育能力」なども価値として説明
- 一見高く見える単価でも、“トラブル0・長期安定”をセットで提案
実際、「少し高いけど、この人なら…」とOKをもらえたケースは多数あります。提案の説得力があれば、単価は“交渉”の余地があります。
◆社内フォローで“営業の信頼資産”を育てる
自社側への信頼構築も、見落とされがちですが重要なポイント。
- 稼働状況の定期報告
- 問題が起きそうな時は、事前にアラートを出す
- エンジニアからの声を拾い、改善提案につなげる
こうした動きをしておくと、マネージャーや事業部からも一目置かれる存在になります。「あいつに任せれば安心」と思ってもらえることは、営業にとって大きな武器です。
◆自社の“営業価値”を再定義せよ
最後に一つ、営業として私が大切にしている言葉があります。
「自分の数字は、自分と関わった人たちの“ありがとう”の数である」
数字を追うのではなく、「価値」を積み重ねる。その結果、数字は後からついてくる。これが私のスタイルです。
この章のまとめ:
「“人のため”を本気でやると、“数字のため”にもなる。不思議だけど、真実です。」
次はいよいよラスト。「三方良し」をどうやって“続けていくか”――具体的なフォローと工夫をご紹介します。
第5章:三方良しを継続するフォロー&PDCA ~“続ける力”が営業の真価を決める~
営業という仕事は、“始める”より“続ける”ほうが難しい。
配属が決まった瞬間はホッとしますよね。でも、本当の勝負はそこから。
三方良しを“継続”させるためには、地味だけど強い習慣化がカギになります。

◆3者フォロー体制を“定例化”せよ
私が実践しているのは、エンジニア・顧客・社内それぞれに対する定期チェックリストです。
✅ エンジニア向け
- 月1面談(10分でもOK)
- 「困ってることない?」の一言フォロー
✅ 顧客向け
- 稼働後1週間&1ヶ月フォロー
- 小さな不満の芽を見逃さない
✅ 社内向け
- 日報・週報に現場の“空気感”も添える
- ちょっとした変化も報告共有
これをルーチンにしておくと、「何かあったらあの人に相談しよう」と自然に思ってもらえるんです。
◆AIやツールは“気づき”を助ける相棒
最近では、Slack連携やCRMツールを活用して、「定期フォロー忘れ防止リマインダー」を設定しています。
Googleカレンダーでもいいですし、NotionやExcelで簡単な管理表をつくるのもアリ。
ポイントは「頭で覚えない」こと。ツールを使って、“仕組みで信頼”を作るのが、続けるコツです。
◆トラブル対応の“板挟み”をチャンスに変える
営業をやっていると、どうしても板挟みになる瞬間があります。
- エンジニアが「もう限界です」と言う
- 顧客が「このままだと契約継続できません」と言う
こんな時こそ、“調整役としての腕の見せどころ”です。
私が意識しているのは、
- 感情ではなく“事実”をまず伝える
- 双方にとっての“落としどころ”を一緒に考える
- 感謝を忘れず、最後は必ず「話してくれてありがとう」で締める
このスタンスで動くと、信頼はむしろ深まります。
この章のまとめ:
「続けるための仕組みを作り、信頼を“積み立てる”のが、営業の本当の仕事。」
いよいよ最後、「まとめ」へ進みましょう。ここまで読んでくださったあなたに、エールを込めて締めくくります。
まとめ:三方良しの営業は、あなた自身を一番強くする
ここまで、「エンジニア」「顧客」「自社」――三方良しの営業術についてお話ししてきました。
派手さはないかもしれません。でも、このスタイルを続けてきたことで、私は何度もピンチを乗り越え、長く信頼される営業になることができました。
営業は、ときに孤独で、しんどい仕事です。
でも、自分が関わった人たちが「ありがとう」と言ってくれる瞬間、心から思えるんです。
「ああ、この仕事を選んでよかった」って。
◆三方良し営業のポイント再確認!
- エンジニアには“寄り添い”と“透明性”
- 顧客には“聞く力”と“価値ある提案”
- 自社には“数字以上の信頼”を
そしてなにより、“続ける仕組み”と“あきらめない姿勢”が三方良しの真の土台です。

この記事が、少しでもあなたの明日の営業活動のヒントになればうれしいです。
同じ現場を走る者として――あなたの挑戦、心から応援しています!

あなたの営業活動を応援します!
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