リストル:企業DB開発日誌 第1話「3秒」〜1,400社分の営業機会を奪った「見えないエラー」と、データ分析の落とし穴〜

リストル:企業DB開発日誌 企業DB開発日誌

最短3分で営業リストを自動収集し、新規開拓を仕組み化する営業支援ツール「Listoru(リストル)」
本連載「企業DB開発日誌」では、当社の機能の一つであるデータベース開発の裏側と、リアルな改善の軌跡をお届けします。
膨大なデータと向き合う中で見つけた小さな気づきが、システムの大きな進化に繋がっていく。
B2Bマーケティングや日々の業務改善のヒントとして、ぜひお役立てください。
それでは、本日の開発日誌をご覧ください。

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営業活動を左右する「地味な機能」

リストルには、企業のホームページにある問い合わせフォームへ、
文面を届ける機能があります。

電話でもなく、いきなり訪問するでもなく、
会社が「ここから連絡してください」と自分で置いている窓口に、
順番に、こちらの用件を届けにいく。

地味な機能です。
ただ、これがうまく動くかどうかで、
その日の営業活動の量が丸ごと変わります。

ある日、1,155社分の送信結果を眺めていて、手が止まりました。

結果の一覧には、送れた会社、送れなかった会社、
そしてもうひとつ、こういう記録が並んでいます。

「途中で応答が返ってこないので、この会社は見送りました」

送信の途中で相手のサイトが黙り込んでしまい、
いつまでも待っていても仕方がないので、
こちらから打ち切った、という意味です。

その記録が、5社に1社ありました。

「相手のサイトが重い」という思い込み

多いな、とは思いました。
ただ、そのときは、そこまで深刻に受け取っていません。

相手のサイトが重いのだろう。
最初はそう考えました。

世の中には、驚くほどのんびり動くホームページがあります。
何年も前に作られたまま、丁寧に運用されている。
画像が大きい。読み込むものが多い。
別に、悪いことではありません。
そういうサイトを責めても仕方がない。

送れなかった2割は、そういう会社の集まりなのだろう。
そう説明がついてしまったので、
私たちはいったん納得しかけていました。

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説明としては、筋が通っていました。
2割という数字も、「そのくらいはあるだろう」と
思えてしまう大きさです。

数字に、感覚のほうで説明を付ける。
あとから思えば、ここが最初の分かれ道でした。

答えは「成功した側」にしかない

納得しかけて、けれど、ひとつだけ引っかかりました。

「見送りました」という記録は、失敗ではありません。
こちらの判断です。

相手が拒否したわけでも、フォームが無かったわけでもない。
待ちきれなくなって、こちらから列を離れた。
それだけの話です。

では、その判断は、正しかったのか。

判断が正しかったかどうかを確かめる方法は、ひとつしかありません。
成功したほうを見ることです。

失敗した記録をいくら眺めても、
「待てば届いたかどうか」は書いてありません。

打ち切ったのだから、その先は起きていない。
起きていないことは、記録に残りません。

答えは、成功した側にしかない。
そう気づくまでに、しばらくかかりました。

それまでは、見送った側の記録ばかり読み返していました。
読み返すほど、「重いサイトが多い」という説明に
馴染んでいくだけでした。

書かれていないことは、何度読んでも、書かれていません。

平均ではなく「端の数字」を見る

送信に成功した会社は、どれくらい時間がかかっていたのか。

それまで、成功した会社の所要時間はほとんど見ていませんでした。
成功しているのだから、見る理由がない。
そう思っていました。

遅いほうから順に並べ替えてみます。

平均は見ませんでした。
平均は、こういう場面では役に立ちません。

大半の会社は数秒で終わっています。
その数字に引っぱられて、平均は小さく出ます。

知りたいのは、真ん中ではありません。
端のほうです。

いちばん遅い会社。その次。その次。
上から1割ぶんを見ていくと、そのあたりで数字が落ち着きます。

162秒。

約2分40秒。
フォームに文字を入れて、送信を押して、
「送信が完了しました」の画面が返ってくるまで、2分40秒。

ずいぶん気長です。
ただ、返ってきてはいる。届いてはいる。

そして、こちらが「これはもう無理だろう」と
見切りをつける設定は、

165秒。

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1,400社との出会いを奪った「3秒」のせっかち

……3秒。

162秒かかっても届く会社がいる。
165秒で、こちらが打ち切る。

つまり、あと3秒だけ待っていれば届いていた会社を、
こちらから見送っていたことになります。

相手のサーバーの中では、おそらく処理がまだ動いていました。
「送信が完了しました」の画面が、返ってくる途中だった。
その途中で、こちらは列を離れていました。

そして、その3秒の内側にいた会社が、
「重いサイト」として2割の中に混ざっていた。

推計で、およそ1,400社。

推計です。すべてを個別に数え直したわけではありません。
ただ、成功した会社の時間の分布からすると、
その規模になる、という試算でした。

数え直せないのは、打ち切った先が、記録に残っていないからです。
起きなかったことの数は、いつも推計でしか語れません。

この数字を出したあと、しばらく黙っていました。

フォームは、ちゃんとありました。
消えてもいなければ、壊れてもいなかった。
相手は、受け取る準備をしてくれていました。

先に諦めていたのは、こちらのほうでした。

なぜ165秒だったのか。

意地悪な設定をしたわけではありません。
むしろ逆で、安全のための数字でした。

1社にいつまでも張り付いていると、
その日のうちに回れる会社が減ってしまう。
相手のサイトにも、こちらのパソコンにも、負担がかかる。
どこかで見切りをつける必要がある。

その「どこか」を決めるとき、
私たちは成功した会社の所要時間を見ていませんでした。

見ていたのは、「だいたいこれくらいで終わるだろう」という感覚のほうです。

安全のために設けた上限が、
ほんの少しだけ、せっかちだった。

それだけの話です。
それだけの話で、1,400社分の出会いが消えていました。

1,400社という数字を、営業の側から見ると、こうなります。

1日に30社へ連絡するとして、46日分。
2か月分の活動が、送信されないまま消えていた計算になります。

しかも、消えたことが、どこにも表示されません。

画面には件数が出ています。
処理は最後まで走っています。
翌朝には、次のリストが用意されています。

困っている人が、ひとりもいない。

この状態が、いちばん長く続きます。

感覚ではなく「実測」から決める。3つの改善策

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直したことは、3つあります。

ひとつ。
待ち時間の上限を引き上げました。
成功している会社の実際の所要時間を見て、その外側に置き直しました。

ふたつ。
「本当に固まっているのか」を、別の目で見張る仕組みを入れました。
時間だけで判断すると、また同じことが起きます。
動いている限りは待つ。完全に止まったら、そこで初めて打ち切る。

みっつ。
一度見送った会社に、もう一度声をかけられるようにしました。
以前は、見送った記録が付くと、その会社は永久に対象外でした。
判断が間違っていたのだから、記録のほうを取り消せなければ意味がありません。

そして、上限の決め方そのものを変えました。

以前は、感覚で決めていました。
「だいたいこれくらいで終わるだろう」という、こちらの見込みです。

いまは、実測から決めます。

成功した会社が実際にどれくらいかかっているのかを見て、
その分布の外側に置く。

分布は、時期によって動きます。
だから、置いた数字も、時々見直します。

上限を決めるという作業は、
本来、こちらの都合ではなく、相手の実態から決めるものでした。

誰も困っていないエラーが、いちばん怖い

この仕事をしていると、時々思います。

エラーが出て止まってくれるものは、実はありがたい。
赤い文字が出れば、人は必ず見にいきます。

困るのは、こういうやつです。

画面には、ずっと「完了しました」と出ている。
処理は最後まで走っている。
誰も、困っていない顔をしている。

この件のあと、数字の見方を1つ変えました。

平均を見ない。
上位と下位の端を見る。

平均は、うまくいっている大多数の姿です。
困っているのは、たいてい端のほうにいます。

そして、端のほうは件数が少ないので、
全体の数字には、ほとんど影響しません。

影響しないから、見なくなる。
見ないから、気づかない。

数字を並べ替えて、はじめて気づく。

3秒でした。

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次回予告

第2話「消えた300社」

 順番に処理していたはずなのに、
 なぜか一度も順番の来ない企業がいました。

 1,000社で試したら、300社。

 エラーは、一度も出ませんでした。
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⚙️リストルは、今日もどこかを直しています。

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