はじめに:モノが売れない時代、それでも“選ばれるブランド”がある理由
「最近、ほんとに売れないんですよ…」
ある日、老舗アパレルメーカーの営業担当・Aさん(40代・女性)から、そんな一言が漏れました。
価格競争、ファストファッションの台頭、ECの普及――
業界全体が「モノが売れにくい時代」に突入した今、アパレル営業も大きな転換点を迎えています。
でもそんな中でも、“指名買いされるブランド”は、ちゃんと存在している。
そして、それを支えているのが、現場で戦う“営業パーソン”たちの知恵と工夫でした。
本記事では、現役アパレル営業のリアルな声を交えながら、
売れない時代において、どう「ブランド価値」を高め、伝えていくかを深掘りします。
あなたのビジネスや営業スタイルにも、きっと役立つヒントがあるはずです。
第1章:「ブランド価値って、言葉じゃないんです」──アパレル営業Aさんの証言
「“ブランドの価値を伝えてください”って言われるんですけど…
正直、それが一番難しいんですよね。」
そう話すのは、アパレル歴18年の営業Aさん。
彼女は都内の百貨店やセレクトショップを主に担当し、日々バイヤーとの商談や販促の最前線に立っています。

「ロゴがあるだけじゃ、売れません」
かつては「ブランド=ネームバリュー」でした。
でも今は違う。
「若い子たち、ロゴだけじゃ全然動かないんですよ。
SNSで“意味があるモノ”を選ぶ時代だから、
“このブランドが何を考えて作ってるか”を説明できないと、即スルーです」
「伝わらない」は、“信じていない”証拠
Aさんがあるとき気づいたことがあります。
「自分がブランドの想いを“信じて”ないと、言葉に出しても伝わらないんですよね。
だからまずは自分が“その服の物語”に共感すること。
実は、営業って“感情の受け渡し”なんですよ」
現場でのリアル:バイヤーに刺さったのは「背景ストーリー」
「今季のジャケット、素材にこだわってて~」よりも、
「実はこの生地、職人さんが1枚ずつ手作業で…」と伝えたときの方が、バイヤーの目が変わったといいます。
→ “背景”にこそ、ブランド価値の“魂”がある。
第2章:「ブランド価値」は、こう伝える!現場のセールストーク術
アパレル営業Aさんが、日々の商談で実践している「伝え方」には、
テクニックよりも“想いの乗せ方”に重きが置かれています。
①「機能」ではなく「体験」を話す
ただ「防水加工です」「軽くて丈夫です」と言っても、お客様の心は動きません。
Aさんはこう伝えるようにしています。
「急な雨の日でもサッと羽織れるんですよ。しかも、素材がしなやかだからシワにもなりにくくて。
私も先日、電車で濡れたまま乗ったんですけど、全然ムレなくて快適でしたよ!」
→ “その商品を着た自分”が想像できるトークが、心に残る。
② 「誰が、どんな想いで作ったか」を添える
営業の場で効果的なのが、作り手の想いをストーリーとして伝えること。
「このブラウス、生地は京都の老舗が染めていて、
色合いにこだわって何度も職人さんとやり取りしたんです」
→ 商品が“ただのモノ”から“想いが詰まった作品”に変わる瞬間です。
③「なぜ、今この服なのか」を語る
ブランドの世界観を伝えるだけでは不十分。
Aさんが重視しているのは、「今」のお客様にどうフィットするか。
「このパンツ、最近リモートワークも増えてますよね。
きちんと感はあるけど、締めつけがないんです。
“外もいけるルームウェア”として人気なんですよ」
→ 時代との接点を明確にすることで、購買意欲が高まる。
「口がうまい人」より、「本気で語れる人」が売れる――
それが、Aさんがたどり着いた営業のスタイルでした。

第3章:差別化は“世界観”にあり!ブランドが語るべき3つの軸
「結局、どのブランドも似てるって言われちゃうんですよね」
アパレル営業Aさんが悩みの一つとして挙げた“差別化”の壁。
価格で競えないなら、ブランドが伝えるべきは――“世界観”です。
Aさんは、ブランドを表現するための3つの軸を大事にしていると話します。
① コンセプト:何のために、誰のために存在するのか?
「私たちのブランドは、“生き方を軽やかにする服”をテーマにしています」
こういう一言があるかどうかで、話の“芯”が通るんです。
→ 自分たちが“何者なのか”を、明確に言語化する。
② ルーツ(原点):どうしてこのブランドは生まれたのか?
- 創業者の体験から生まれた「必要性」
- 地域の技術や伝統を活かすという「使命」
こういった背景を伝えると、ブランドに血が通います。
→ お客様が「共感」できるきっかけになります。
③ スタイル提案:その服でどんな日常が叶うのか?
「このシャツは、デニムにもスラックスにも合います。
“今日はちょっと気持ち上げたいな”って日にぴったりです」
→ 商品を買った先の“ライフスタイル”を描いてあげること。
これら3つの軸が揃っていると、ブランドの印象は「ただの洋服」から「共感できる世界観」へと変わります。
Aさんいわく、“差別化”って、機能や値段じゃなく、「想いの厚み」で決まるそうです。
第4章:売れない時代の“営業戦略”とは?現場のリアルな挑戦
「昔みたいに、“並べときゃ売れる”時代じゃないですよね」
アパレル営業Aさんが口にしたこの一言には、現場ならではの苦労と工夫が詰まっていました。
ここでは、“売れない時代”を乗り越えるためにAさんが実践している営業戦略をご紹介します。

① バイヤーに“提案”する営業へ
「今までは“商品の説明”が中心でした。でも今は“売れる売り場の提案”がメインです」
- どう並べたら売れるか?
- どんなPOPをつけると手に取ってもらえるか?
- 店舗スタッフが“接客しやすいワード”まで準備
→ 「一緒に売る」パートナー型営業へと進化中。
② “お客様の声”を営業資料に盛り込む
Aさんは、試着会やSNSで得たリアルな声を、バイヤーに伝えるようにしています。
「これ、オンラインで見てて気になってたんです」
「着てみたら、想像以上に軽くて驚きました!」
→ 数字では伝えきれない“共感”が、購買の後押しになる。
③ 数を追わず、熱量のある取引先と深める
「全部の店舗をまんべんなく回るのをやめました」
売上の大半を占める“キープレイヤー”に絞って、手厚くフォロー。
- 展示会前に商品を先見せ
- 限定POPや特典を用意して“特別感”を演出
→ 取引先との“関係性の深さ”が、ブランドの価値を育てる土壌になる。
戦略のキーワードは、「広く」ではなく「深く」。
Aさんのような現場の工夫が、ブランドを支えているのです。
まとめ:ブランド価値は、“人”が届けるもの
「ブランド価値って、ポスターやキャッチコピーじゃ伝わらないんです」
インタビューの最後に、Aさんはそう語ってくれました。
確かに、ブランドは理念やコンセプトを掲げることはできます。
でも、それをお客様に“ちゃんと伝えて”、共感してもらい、行動につなげるのは―です。

今、アパレルの世界は大きな変化の渦中にあります。
でも、どんな時代になっても変わらないものがあります。
- 作り手の想いを受け取り
- それを信じて語り
- お客様とつなぐ“架け橋”になる
それこそが、アパレル営業の本質であり、
“売れない時代の突破口”となる最強の武器なのです。
Aさんのように、日々試行錯誤しながらブランドを育てている営業の姿勢から、
私たちはまだまだ学べることがあるはずです。
あなたの営業にも、今日の話が少しでもヒントになりますように。
あなたの営業活動を応援します!

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