第1章:商談前:第一印象で差をつける
オンライン商談では、第一印象がすべてを決める――と言っても過言ではありません。リアルな対面では、握手や身振り、空間の雰囲気で相手の印象が補完されますが、画面越しのコミュニケーションではその多くがカットされ、視覚と聴覚に頼る情報しか伝わりません。その限られた“情報量の少ない接点”で信頼を得るためには、戦略的に第一印象を設計する必要があります。
カメラの位置と角度で「信頼される映り方」を実現
最も基本的かつ効果的なのがカメラの“目線”調整です。ノートパソコンの内蔵カメラでは、下から見上げるアングルになりがちで、これは威圧感や違和感を与える原因になります。理想は、カメラの高さを自分の目線と同じか少し上に設定し、正面から相手に「見下ろさず・見上げず」自然な視線を届けること。
加えて、目線を外さないことが重要です。多くの人が、話し相手の映る“画面”を見て話すため、相手からは「目を逸らしている」ように見えてしまいます。ポイントは、“相手が話している時に画面を見て、話すときはカメラを見る”という使い分け。これに慣れるだけで、信頼感が一気に増します。
照明と背景の最適化:明るさ・色温度・ノイズ対策
人の顔は「光の当たり方」で印象が大きく変わります。暗い部屋で照明が不足していると、表情が見えず不安や陰気な印象を与えがちです。顔に正面から自然光が当たる位置に座るのがベストですが、それが難しければリングライトなどの補助照明を使いましょう。
また、背景も重要な演出要素です。乱雑な部屋や生活感あふれる背景では、無意識に「この人はだらしない」と感じられてしまうことも。無地の壁や、観葉植物・書棚など“整った環境”を演出できる背景を用意しましょう。バーチャル背景を使用する際も、“不自然な境界線”や“背景に埋もれる髪型”などがないか事前にチェックが必要です。
身だしなみと服装の「上半身ブランディング」術
オンラインでは“上半身だけ”が相手に見えるため、上半身だけでも信頼感を演出するスタイリングが求められます。明るめのシャツやジャケットは、顔色を引き立てる効果があり、落ち着いた色味の背景とも相性が良好です。ネクタイやアクセサリーは好印象を与える半面、やり過ぎると画面上で“うるさく”見えることも。シンプルかつ清潔感のある装いが理想です。
また、カメラに映った自分を事前に録画し、“自分の印象”を確認することも有効です。録画チェックによって、自分がどんな印象を与えているかを客観的に知ることで、細かな改善点(例えば「無表情になっていた」「まばたきが多い」など)にも気づけます。
第2章:トーク術:見える声とジェスチャーで信頼感を醸成
オンライン商談では、話す内容だけでなく、「どう話すか」が信頼構築において極めて重要な要素となります。音声と映像しか情報が届かない環境だからこそ、“伝え方の工夫”がそのまま「人となりの印象」に直結します。ここでは、画面越しでも「この人、信頼できそう」と感じてもらうためのトーク術を紹介します。
声のトーン・抑揚・間で“人間味”を届けるコツ
音声だけが頼りとなるオンラインでは、声のトーン・抑揚・話す速度が、想像以上に相手の印象に影響します。例えば、低すぎる声や単調な口調は「自信がなさそう」「眠くなる」といったネガティブな印象を与えかねません。
そこで大切なのが、少し高めのトーンで、語尾を明るく締める話し方。例えば「よろしくお願いします(↘)」ではなく「よろしくお願いします!(↗)」と語尾を上げるだけで、明るく積極的な印象に変わります。また、“間”を適度に取りながら話すことで、相手が内容を整理しやすくなるだけでなく、余裕や落ち着きを感じさせる効果も得られます。
カメラ目線と表情で「リアル感」を演出する技
「表情は声と同じくらい雄弁である」と言われるほど、顔の表情はコミュニケーションにおいて重要です。オンラインでは相手の全身が見えないため、顔の動きや目線がより強く印象づけられます。
話している間、時折カメラをじっと見ることで「目を見て話している」感覚を演出できます。ずっと見続ける必要はありませんが、要所要所でしっかりカメラに目線を向けることで、「この人は誠実で話に集中している」と感じてもらえます。
また、口角を少し上げて笑顔をキープすることも忘れてはなりません。真顔だと、オンラインでは無表情に見えがちです。笑いすぎなくても、目元と口元に優しさを乗せた「微笑み顔」が画面越しに好印象を与えます。
ジェスチャーの見せ方と「手の動き」の心理効果
オンラインでは「話す内容」よりも「見える要素」に意識が集中しやすいため、手の動きやジェスチャーが効果的な説得材料になります。特に、手のひらを見せる開放的なジェスチャーは、相手に安心感を与える効果が科学的にも示されています。
話のポイントを強調したいときには、胸元から肩の高さあたりで、ゆっくりとした手の動きを加えましょう。特に、「3つのポイントがあります」といった場面では、指を折りながら数を示すことで視覚的な説得力が増します。
ただし、カメラに近すぎる手の動きは逆効果です。画面が突然揺れるように感じられたり、動きが大きすぎて落ち着かない印象を与えたりすることがあるため、動作は「見切れない範囲」で、「ゆったりと」行うのが基本です。
第3章:傾聴術:「聞く」を武器に信頼を深める
オンライン商談において、信頼構築のカギを握るのは「話し方」だけではありません。むしろ、相手の話をどう“聞くか”が、その人の誠実さや安心感に直結します。相手が話しやすくなる空気を作ることこそが、信頼を得る最短距離なのです。
オンラインで信頼される「うなずき・相槌」の技法
対面では自然にできていた「うなずき」や「相槌」も、オンラインでは“わざとらしく見えないか?”と不安になり、控えめになる方も多いようです。しかし実は、オンラインでは意識的に“やや大げさに”リアクションすることが必要です。
例えば、首をしっかり上下に動かすうなずき、「なるほど」「はい、そうなんですね」などの言葉による相槌を交互に使うと、相手は「ちゃんと聞いてくれている」と実感します。特に、話の区切りでワンテンポ遅れて相槌を入れることで、通信の遅延によるタイムラグをカバーでき、滑らかな対話を演出できます。
話のラグや沈黙を逆手に取る「間の技術」
オンラインならではの問題として、“無音の空間”が生じると不安になる、という現象があります。回線の都合で一瞬相手の声が止まっただけでも、「聞こえていないのか?」「話しにくいな」といった不安が相手に広がるのです。
これを逆手に取り、沈黙を「確認や思考の時間」として明示的に使うと、信頼感は逆に高まります。たとえば、「少し考えさせてくださいね」「今の点、重要なので一度整理します」と声を添えることで、“気まずい間”を“意味ある間”に変換できるのです。
また、リアクションが遅れたときは「ちょっとラグがあるかもしれません、今のところもう一度お願いできますか?」と笑顔でフォローすれば、誠実な印象に変わります。
話を引き出す“問いかけ”と話しやすさ演出術
信頼は、聞いてくれる人に対して芽生えます。そして、「聞いてくれる人」とは、ただ無言でうなずくだけの人ではなく、「こちらの話を引き出してくれる人」です。
具体的には、オープンクエスチョン(Yes/Noで答えられない質問)を意識的に使うことが重要です。
たとえば、「〇〇について、どんな課題を感じておられますか?」
「導入の際、一番重視されるポイントは何ですか?」など。
また、「なるほど、それはなぜですか?」「それは御社にとってどういう意味を持ちますか?」など、深掘り型の質問を投げることで、相手に「この人は本気で話を聞こうとしている」と伝わります。
さらに、相手の言葉を繰り返す「パラフレーズ(言い換え)」も有効です。
「〇〇がお悩みとのことですね。確かに、それは多くのお客様が気にされています。」というように、“聞いて理解している”というサインを明確に示しましょう。
第4章:資料&画面共有:「見やすい」が信頼を導く
オンライン商談では、話す内容と同じくらい「画面に映る情報の質」が信頼感に直結します。実際に多くの商談で「資料が見づらくて話が入ってこなかった」「細かすぎて読む気が失せた」といった声が挙がっています。
ここでは、“見せ方ひとつで信頼度を底上げする”資料と画面共有のコツを紹介します。
スライド設計:1スライド1メッセージの原則
スライド資料を画面共有する際、最も大切なのは「一目でわかること」です。
特にスマートフォンや小さなノートPCで参加している相手にとって、文字が小さい・情報が詰まりすぎている資料は「読む気を失わせる最大の要因」となります。
そこで意識したいのが、1スライドに伝えるメッセージは1つだけという原則。
「見出しは結論を一文で言い切る」「装飾は最小限に」「図解・アイコンを効果的に使う」といったポイントを押さえるだけで、資料の“見やすさ”と“印象の良さ”が劇的に改善されます。
資料に文章を並べる場合も、箇条書き+キーワード強調を活用して、パッと見で理解できる構造にしましょう。
拡大・フォーカス・ポインターで“画面を味方”に
プレゼン中、特に重要なポイントを強調したいときは、「拡大表示」や「フォーカス機能」を積極的に活用しましょう。
ZoomやGoogle Meetなどの主要なビデオ会議ツールには、画面共有中に拡大(ズームイン)したり、ポインターを使ったりする機能が備わっています。
例えば、売上グラフの1つの棒だけを拡大表示して見せる、注目ポイントを赤いレーザーポインターで指す――こうした動作は、話のリズムに視覚的な変化を加えることにもなり、相手の集中を引き戻す効果があります。
また、「いまここを見てほしい」という意図が明確に伝わるため、“伝わっているか不安”というオンライン特有のストレスを減らすことにもつながります。
セカンドディスプレイで「資料と顔の両立」を実現
「資料を共有すると自分の顔が隠れてしまう」という課題を抱える方は多いですが、これは“二画面体制(セカンドディスプレイ)”で一気に解決できます。
プレゼン用の資料はメイン画面、相手の顔や自分のカメラ映像はサブ画面に表示すれば、“資料の説明”と“表情の伝達”を両立することが可能になります。
こうした工夫は、相手に「誠実に伝えようとしてくれている」という好印象を与える要因となります。
もしセカンドディスプレイが用意できない場合でも、「画面共有中に一度停止して自分の顔を大きく映す」などの工夫で、顔と声の“バランスのとれた存在感”をアピールすることができます。
第5章:商談後のフォロー:信頼を継続させる施策
オンライン商談は、画面を閉じた瞬間から「信頼の継続力」が試されます。
商談中に築いた関係性は、その後のフォローの質次第で深まりもすれば、霧散することもあるのです。信頼構築を“短期勝負”で終わらせないための、商談後の重要なアクションを紹介します。
印象に残るお礼メール&議事録テンプレート紹介
まず必須なのが、当日中に送る「お礼メール」です。
基本的な構成は「感謝 → ポジティブな要約 → 次のアクション提案」の3ステップ。
例:
〇〇様
本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。 お話しいただいた「××の課題感」は、まさに弊社の強みと重なる部分であり、 具体的なご提案に繋げられると感じております。
後ほど、商談内容の要点をまとめた簡単な議事録も共有させていただきます。 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
このように「相手の発言を引用しつつ、前向きな印象」でまとめることがポイントです。
また、簡潔で見やすい議事録(要点のみ3〜5項目)を添付すると、丁寧さと信頼感が大幅にアップします。
次アクション提示で“放置されない関係”を作る
「ご確認のほどよろしくお願いします」だけで終わるメールは、相手にとって“終わった話”になってしまいがちです。
そこで重要なのが、具体的な次の一手(=小さなタスク)を提示することです。
例えば、
- 「〇日までに、ご検討のうえご返信をいただけると幸いです」
- 「次回は来週火曜の午後、再度30分ほどお時間をいただけますでしょうか?」
など、“アクションの期限や提案”を盛り込むと、関係性が継続モードに入ります。
この“流れを切らない提案力”こそが、オンラインでも「頼れる存在」として記憶に残る要因となります。
商談ログの活用と「記憶に残る存在」になる工夫
商談の内容は記憶が曖昧になりやすいため、商談ログ(議事録+自分メモ)を残すことが習慣化のカギです。
顧客ごとに「話題になったテーマ」「相手のこだわり」「使っていた表現」などを簡単にメモしておくことで、次回以降に「あのときおっしゃっていた●●、その後いかがですか?」と自然に会話が始められます。
これは、“ちゃんと覚えていてくれる人”という強い信頼形成のシグナルです。
加えて、次回以降の案内メールに少しだけ雑談要素を加えるのも効果的です。
「この前仰っていたゴルフ、晴れるといいですね」など、一言添えるだけで“あなただけを大切に思っている感”を演出できます。
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